【完】溺れるほど、愛しくて。




言われるままにいつも一人でご飯を食べるリビングに連れてこられた。


そこにはお父さんもいて、目を大きく見開いて驚いた。


いつの間に帰っていたの…?


昔はお父さんが帰ってくると、玄関まで家族みんなで迎えに行って


それから海外のお土産をたくさん買ってきてくれるから女三人で中身を見たりしていた。


そんな記憶すらもう薄らいでいってしまうように思える。


異様な雰囲気が漂うリビングにあたしは誰も座っていないソファに腰を下ろした。


あまりに無言なせいで、ギシッとスプリングが鳴る音がやけに大きく耳に届く。


あたしが座っているソファの前にお父さんとお母さんが隣り合わせになって座っている。


二人のその表情からはいい話だとは感じられない。



「萩花、あなたお母さんたちに
嘘をついて“Black City”に行ったわね?」



ドクンッと心臓が音を立てたのが分かった。


きっと、誰かがあたしが“Black City”に行くところを見てお母さんたちに言ってしまったんだ。


狭間さんがお母さんたちに怒られるのが我慢出来なくなって言ってしまったということも考えられる。