「人違いですよ」
「あんた、ウチらに口答えすんの?」
「別にそんなんじゃあ…」
なんでいつもあたしばっかりこんな目に遭うの?
あたし、なんか悪いことでもした?
そのとき、カランコロンと空き缶が転がってきた。
転がってきた先を見てみるとそこには赤髪の彼が真顔で立っていた。
どうして…?
なんでまた会っちゃうの?
もう忘れなきゃって思っていたのに。
彼は無言であたしの足元にある空き缶を拾ってゴミ箱へと投げた。
投げた空き缶はカランカランと音を立てながら見事にゴミ箱に入った。
「な、なんであんたがここに…!」
「散歩。悪い?」
「どうでもいいけど、そこ退いてくんない?」
彼はあたしを庇おうとしてくれているのか何なのかは分からないけどなかなか立ち去ろうとしない。