【完】溺れるほど、愛しくて。




「お前さ、なんで何も言わねぇの?
俺はお前の彼氏なんだけど」


「だ、だって……っ」



そんなこと言えるわけないじゃん。



「そのせいで、指輪とか準備できなかったし」


「え?」



ゆ、びわ……?

どうしてそんなものが必要なわけ?



「俺、言ったよな?
お前を離すつもりはねぇって」



言ってくれたよ。
はっきり覚えてるもん。


慶さんがくれた言葉の全てをあたしは覚えているよ。



「俺が簡単に手放すとでも思ってんの?

思考がガキなんだよ、お前は。
勝手に去って俺が簡単にお前のこと諦めるとでも?」



どんどん口調が強くなっていく慶さん。


それに比例するように近づくあたしたちの距離。


ついに、慶さんは舞台に上がってきてあたしの前に立った。


指輪を構えていた上田さんは突然のことに動きを止めて固まったまま。