【完】溺れるほど、愛しくて。




「決まってんだろ?」



慶さんはお父さんに一度視線を向けてからあたしの方に移した。


必然的に絡み合う視線。


久しぶりに会った彼はやっぱり大人っぽくて、どこまでもあたしの鼓動を高鳴らせていく。



「俺の可愛い姫さまを返してもらうためだよ」



その言葉をきいてどんどん熱を持っていく顔。

自信満々にそう言い放ち、あたしとの距離を縮めてあと少しで触れられる距離になる。



「なっ…!萩花はもう婚約者がいるんだ!」



そうだよ、あたしはもう慶さんといられないの…
息が詰まりそうなくらい胸が苦しくて痛い。



「先約が入ってんだけど」



そういって、慶さんはあたしに向かって何かを投げてきたから


あたしは反射的にそれをキャッチした。


手のひらを開いて、慶さんがあたしに投げたものをみて頬に涙が伝った。


泣かないようにと気を張っていたのにそれを見た瞬間、


一気に気が抜けてしまい涙がポロポロとこぼれ落ちた。


慶さんが渡してきたものはあたしがサヨナラをする日に慶さんのそばにおいていったペアネックレスだった。