「やっと見つけた」
あたしを見つけるなり、そう言った気がする。
口の動きがそうだったと思う。
なんで…キミがここにいるの?
「…お前!こんなところに何しに来たんだ!」
お父さんが慌てて、彼の元へ向かう。
だけど、彼はそんなこと気にする様子もなくこちらに一歩ずつ、確実に歩を進める。
スッとした長身によく似合う黒いスーツに身を包み、いつもよりも綺麗にセットされた髪型のせいでいつもよりも色気を増している。
真っ赤なバラの大きな花束を肩に乗せている。
バラの花が似合う男の人ってそうそういないよ。
いつも制服のネクタイは緩くて着崩しているくせに
今はきちんとネクタイが締められていてそこから彼…愛しい慶さんの覚悟が伝わってきた。
どうしてこんなところに来たのよ……。
まだ寝てなきゃいけないじゃんか。
そう思うのに来てくれて嬉しい、と思ってしまっている自分もいる。



