今まで見た中で一番に悲しげで、それでいて大事な人の幸せを願う最高にいい笑顔だった。
執事の顔は整っていて男の俺でもカッコイイと思うくらいだ。
俺もいつか…こんなに寛大な心を持てる大人になりてぇな。
「……俺はまだまだガキだ。
だけど、いつかお前みたいな大人になるから、それまでは俺の憧れでいてくれよ」
「っ…!」
俺の言葉に目を丸くして驚いた執事だったけど、すぐに表情を戻して俺の頭をワシャワシャと撫でてから
「生意気だな」
そう言葉では言っているけど、顔はとても柔らかく笑っていた。
「慶って呼んでやるから、
俺のことは“俊輔”(しゅんすけ)って呼べ」
「上から言うな、俊輔」
「俺の方が年上だろ?」
うぜぇな。
でも…兄貴が出来たみたいで嬉しかった。
「明日、取り戻しに行くんだろ?」
「おう」
「俺も手伝ってやるよ」
偉そうに言いやがって……
だけど、頼りにしてるぞ。