「……お前にしか任せられねぇよ」
ぽん、と肩に置かれた手。
執事が萩花を大切に想う気持ちがひしひしと伝わってきて胸がぎゅっと締め付けられる。
コイツはやっぱり大人だ。
相手のことを考えて相手の幸せのために…自分の気持ちを押し殺すことが出来るんだから。
“執事とお嬢様”
そんな関係じゃなかったら、ときっと今まで何万回も思ってきたんだろう。
そう思うと自分の気持ちを抑えきれずにただ萩花がほしい俺はまだまだ相当なガキなのかもしんねぇ。
「俺は弱いんだ。
自分の気持ちを伝えてお嬢様のそばにいられなくなることがずっと怖かった…」
ぽつり、と寂しげに呟かれた言葉は広い病室にやけに大きく響いた。
「この気持ちは報われないってずっと前から知っていたのに……いざ他のやつに奪われると思うとこんなに苦しいもんなんだな…」
「……」
「でも、お前だったら俺はいいと思ったよ。
なんてったって、お嬢様が全てを捨ててまで惚れ込んだ相手だからな」
最後は俺に少し寂しげに笑って見せた。



