「萩花は……明日婚約するの」


「は?」



ぽつり、と呟いた舞花の言葉に俺は自分の耳を疑った。


婚約ってどういうことだよ。

いったい、なにがどうなってんだ?



「お母さんに詳しく聞いたら私たち三人を会わせるために婚約の条件を呑んだって…萩花、慶くんのこと想って泣いてたんだって」



…なんだよそれ。

俺たちのために婚約するっつー事か?


勝手に余計なことしてんじゃねぇよ。


いや、余計なことじゃねぇけど…それでも一人で決めてんじゃねぇよ。



「萩花は普段、そんなに泣かないの。
だからお母さんも正直驚いたって言ってた」



そんな気はしていた。

萩花は強がりで意地っ張りだから人前で泣くようなことはしないだろうなと。


まあ、俺の前では泣きまくりだったけど。



「萩花ちゃん、お前のこと想って婚約すんだよ。
このままずっと一緒にいてもいずれはこの時が来るって」



俺のことを想って結婚だと?

ふざけんじゃねぇよ、あのガキ。