でも、今じゃないと言えない気がしたんだ。



「慶さんが目覚めたら三人でちゃんと話してね?
仲直りしたら、ちゃんとあたしにも報告してよ」



いつ、慶さんが目覚めか分からない。

それは明日かもしれないし、来週かもしれない。


来週になってしまえば…いや、もう四日後にはもうあたしは慶さんに会えない。



「どうして…?
好きなんでしょ?慶くんのこと」


「……舞花、もうやめてやれ」



あたしの気持ちを察してくれたのか五十嵐さんが困惑するお姉ちゃんを止めた。



「でも…っ」


「萩花ちゃんは好きだから、慶のことが誰より大切だから…そう決断したんだ」



本当にその通りだった。


これ以上、あたしといたらいずれ慶さんは傷つくことになるともっと早く気づくべきだった。


財閥の跡取りが政略結婚を避けられるわけなかった。



「ごめんね…萩花っ…
私が会社を継ぐことができてたら…」


「お姉ちゃんは何も悪くない。
お姉ちゃんはずっとあたしの自慢だから」



そういって、泣きじゃくるお姉ちゃんに必死に微笑んだ。


いつだって優しいお姉ちゃんは
あたしの自慢のお姉ちゃん。