【完】溺れるほど、愛しくて。




何が起きているのかすぐには理解出来なかった。


ただ、慶さんの表情が苦しそうに歪んでいるのをしばらく見ていることしかできなかった。



「な、何してんだよ…!」



雷蝶の総長はとっさに刃物から手を離した。



「これで…満足か…?

満足なら今すぐに萩花を離せ…足りないならもっと…うぐっ…」



慶さんはもっと刃物を奥に刺した。



「慶さんっ…!やめて…っ!」



これ以上したら死んじゃうよ…!


そこで状況がはっきりとしてきたあたしは男を突き飛ばして地面に膝をつけてお腹を抑えている慶さんに駆け寄った。



「お、俺は知らねぇからな…!」



雷蝶の総長は恐怖から走り去って行った。
総長が去ると次々に雷蝶のメンバーも倉庫から出ていき、残ったのは紅嵐だけ。



「…しゅ…う…か」



あたしの肩に手を置いてあたしが無事で安心したのか優しく目を細めて愛しそうに見つめる慶さん。