【完】溺れるほど、愛しくて。




「萩花はこの世に一人しかいねぇ。
俺が愛する女だ。」



こんなときに不謹慎だけど
慶さんの言葉にトクンと、ときめいた。


慶さんはたくさんあたしに愛をくれた。

寂しさを不器用だけど優しい愛で埋めてくれた。


大好き…愛してる。

でも、もう一緒にはいられないんだ。


どうせ、一緒になれないのなら、この際、この人にボロボロにされた方がいいのかもしれない…なんて思っているあたしを許して。



「へえ。この女も前の女と同じようにしてやるよ」


前の女、とはきっとお姉ちゃんのことだろう。



「やめろっ!萩花には手ぇ出すな」



慶さんはゆっくりとあたしの方へと近づいてくる。


刃物を握っている雷蝶の総長の手は少し震えている。


この人はあたしのことを
刺す気はないんだろうな…とふと思った。


そんなことできるような勇気のある人じゃない。



「く、来るな…!刺すぞ!」


「…お前が刺すのは、コイツじゃねーよ」



慶さんがそういった瞬間、刃物を持っている雷蝶の総長の手を掴んで自分のお腹に……刺した。