【完】溺れるほど、愛しくて。




「お前、赤羽の女だろ?」



そんな声が頭上から聞こえてきて後ろを振り返るとそこには雷蝶の総長がいつの間にか立っていた。


ど、どうしよう……。

隠れていたのに見つかってしまった。



「来いよっ!」


「やだっ…!」



必死の抵抗も虚しく、あたしは腕を掴まれて引きずられるように慶さんたちのところまで連れてこられた。



「萩花っ…!?」



慶さんはあたしを見ると
目を大きく見開きこちらに近づこうとした。


でも、雷蝶の総長があたしの首元に鋭く尖ったナイフを向けたため慶さんは足を止めた。


思わず、ゴクリと息を呑む。


少しでも動いてしまえば向けられた刃物が刺さってしまうかと思うと怖くて足がすくみそうになる。



「慶…さんっ」



ごめんね…あたしのせいで。


喧嘩は一度中断されて倉庫にいた全員があたしの方に視線を向けている。



「今すぐ萩花を離せ…っ!
俺の女にそんな汚ねぇ刃物向けんじゃねーよ…っ!」


「そんなにこの女が大事なのか?
どこにでもいそーなこんなやつが」



雷蝶の総長はハハハッとバカにしたように笑った。