【完】溺れるほど、愛しくて。




やっぱり来るんじゃん。

あんなに『俺には関係ねぇし、どうでもいい』なんて言っていたのに。


慶さんが来てくれたことが嬉しくて思わず頬が緩んだ。


バイクから降りた慶さんは
ゆっくりと一歩ずつ紅嵐に近づいていく。


コツンコツンと足音が暗い倉庫に響く。


それと同じようにあたしの鼓動もドクンドクンと音を立てる。


黒い革ジャンがよく似合っていて、歩くたびにゆらりゆらりと綺麗に染められた赤髪が揺れる。



「……汚れるのは俺一人で十分だ」



それは慶さんの本音なのかもしれない。


彼は“裏切り者”として生きてきた。


仲間想いの慶さんは自分が嫌われても他のメンバーが仲がいいならそれでいいと思ってきたんだろうな。


それなのにこのざまだから。



「何言って…」



動揺する紅嵐のメンバーをよそに慶さんはかつての親友である五十嵐さんの目の前に行くとそこで足を止めた。


五十嵐さんは殴り殴られでひどい顔になっていた。


それは見るからに痛そうで…。


慶さんと五十嵐さんの視線がぶつかり合っていてその間、重い沈黙が流れる。



「一度でも仲間と思ったやつは一生仲間なんだよ…!

簡単に見捨ててんじゃねぇよ!クソガキどもが!」



紅嵐のメンバーたち全員の方を向いて拳にぎゅっと力を込めて力強く言った。