「ただいま」


「おかえり。待ちくたびれた…
もう帰ってこねーのかと思った」



帰って部屋に入るなり、
ぎゅっとあたしを包み込んだ慶さん。


心配、してくれていたのかな?

そして、昨日の約束を覚えてくれていたのか
あたしの頭を優しくそっと撫でてくれた。


あたし…この人が好き。大好き。


なのに、来週には
もう離れなきゃいけないなんて。



「遅くなってごめんね」


「別にお前がここにいるからそれでいい」



冷たいくせに優しくて、
あたしが一番必要としているのはこの人。



「ほら、飯にすんぞ」



あたしのこの手を引いて歩いてくれる。


だけどもうすぐあたしはこの手を振り払うんだ。