【完】溺れるほど、愛しくて。




「これがあたしの運命なんだよ…
どうやっても慶さんとは交わることないの…っ」


「…彼のこと好きなんでしょ?」



さっきまで反対してたくせに。


とは思うものの、お母さんはきっと心配性で優しいからあたしを心配して言ってくれてたんだろうな。



「好きだけど…」


「なんでそこまでするの?
あなたが犠牲になる必要は無いじゃない」


「それは…三人が会わないとみんな前に進めないから…みんなあの日のまま時間が止まってるんだよ」



事実上は時間は進んでいても心の時計は進んでいない。


進んでいるように思っていても本当はちっとも進んでいないんだ。


お姉ちゃんはもちろん、五十嵐さんも慶さんだってそう。


本当は会いたいはずだ。


慶さんが五十嵐さんと会った時に微かだけど切なげに瞳が揺れている。それは五十嵐さんも同じだ。



「でも萩花がそこまでする必要は…」


「そうだね。
でも、誰か無理やりにでも動かさなきゃ一生動かないよ」



その誰かがあたし。
あたし以外に他に誰もいないから。