【完】溺れるほど、愛しくて。




いつからこんなに泣き虫になったんだろう……



「……泣くならついていくなよ」



聞き覚えのある声が聞こえてきて目線を上にあげるとその声の主は呆れたような表情であたしを見つめていた。



「なんであなたが……」



なんでこんなところにいるの?
彼女と一緒に帰ったんじゃないの?


驚きすぎて涙なんて止まってしまった。



「別に。お前がアイツに
声かけられてるところ見かけたから」


「…あたしのことなんて
放っておけばいいのに」


「勘違いすんなよ。
俺はお前に用があるんじゃない。アイツにあるんだ」



アイツというのはさっきまであたしと一緒にいたあの人のことだろう。


お互いにいい雰囲気とは言えない感じなのは分かった。



「そうなんですか…じゃあ、あたしは…」


「待て。お前……アイツに抱かれたのか?」



帰ろうと彼の横を通り過ぎようとした瞬間、彼があたしの手首をがしっと掴んだ。



「えっ!?」



抱かれたって何の話?!
誰がそんな話をしたの!?