【完】溺れるほど、愛しくて。








「つーことがあった…ってすげー顔してんな」



すべてを話し終わり、萩花に怒鳴られる覚悟をしていたのに


視線を萩花の方に移すと萩花の目からはポロポロと透明の綺麗な雫がこぼれ落ちている。



「だってぇ……っ」


「お前が泣くことはねぇよ」



座っていた椅子から立ち上がって泣きじゃくる萩花の元へ向かう。



「慶さん…」



萩花はソファから立ち上がって俺を細い腕でぎゅっと抱きしめた。


俺の胸に顔を埋めて肩を震わせている。

てっきり、ビンタでもされんのかと思ってたし。



「隠してて悪かった…」


「ううん、話してくれてありがとう」



俺の胸に顔を埋めている萩花の後頭部を軽く抑えてからそっとまるで腫れ物を触るかのように撫でる。


あー…なんか俺も泣きそー。


自分の過去を話すのは三回目。

一回目は忍に、二回目は舞花に、三回目ら萩花。


だけど、それ以外は初めてで思い出すだけでもなんか辛い。


今までは何も気にしないように生きてきていたけど実際は深く傷ついていたのかもしれない。



「いつだって…慶さんはあたしが泣いてたらこうしてくれるよね…っ」


「そうだっけ?」



お前が泣いてると放っておけないからだよ。


かといって、掛けてやる言葉もわかんねーしただこうやって抱きしめてやる方がいいんじゃないかっていう俺の勝手な判断。