【完】溺れるほど、愛しくて。




その一ヶ月後、俺は退院した。

幸い、誰にもバレずに退院まで迎えることが出来た。


退院したその足で俺は紅嵐の倉庫までやって来た。



『……慶』


『久しぶりだな、忍』



怒りに満ちたその表情を俺は黙って見つめていた。

こうなることは大体予想していた。


俺の視界に映る景色は、俺の前に紅嵐のメンバーがずらっと並んでいてその前に忍がいる。



『何が久しぶりだ…
お前、一ヶ月も何してんだよ』


『なんでもいいだろ。お前に関係ねぇよ』


『…っ、お前は…舞花のこと悔しくねぇのかよ!』


ぐっ、と縮まる距離。

忍は俺の胸ぐらを
掴んでものすごい剣幕で睨みつける。


舞花のことがどうでもいいわけねぇだろ。

好きなんだから…
初めて好きになったやつなんだから。



『悔しいに決まってんだろ!?』



俺も負けじと忍の胸ぐらを掴む。
倉庫には俺と忍の声しか響いていない。



『じゃあ、なんで来なかったんだよ…!
お前は俺たちと舞花を見捨てたも同然なんだぞ!?』


『…っ、寝てたんだから
しょうがねーだろ!!』



俺にはこのやり方しか守り方が分かんねぇんだよ。