【完】溺れるほど、愛しくて。




あたしなんて全然綺麗じゃないのに。
あたしの心はドロドロの黒い感情で汚れているのに。



「そこのキミ。俺が癒してあげる」


「え?」



知らない男の人にそう言われるなり、あたしは驚きのあまり抵抗もできずに彼に連れていかれた。


連れてこられたのは生活感あふれる部屋。
おそらく、彼の住んでいるマンションの一室だと思う。


というか、なんであたしこんな状況に……?


泣き疲れてボケーっとしてたから抵抗もなにもしてなかったけど、


今になって冷静な頭で考えるとかなりヤバイ状況だよね?



「あっちぃねー」



そんなこと言いながら扇風機を回す彼。
季節は真夏直前の七月上旬。