【完】溺れるほど、愛しくて。




舞花が紅嵐の倉庫に足を運ぶようになって
半年ほどが経ち、俺たちはすっかり日々を共にしていた。


会えば常に三人でいることが当たり前で学校終わりに舞花は毎日のように倉庫にきて他愛もない話をして帰る。


“BlackCity”に足を踏み入れているのは秘密にしているらしい。


夜中にもたまに抜け出してきて俺たちの暴走についてきたこともあった。


確実に俺たちの距離は縮まっていったと思う。
だけど、俺たちは……近づきすぎたんだ。



『ねぇ、慶くん。
慶くんって好きな人とか…いるの?』



ある日、忍が出かけていて俺と舞花の二人きりだったときに恥ずかしそうに視線を下げながら言った。


正直うすうす舞花の気持ちには
気づいてたからそんなに驚きはしなかった。



『……いねぇよ』



それは俺の精一杯のウソだった。


本当は、誰にでも同じ優しくできて、女らしくて、でも心は強くて弱音をあまり吐かない、人として尊敬できる…


そんな舞花のことが好きだった。


いつ好きになったなんてわかんねーけど
気づいた時にはもう女友達っつー目線では見れくなっていた。