【完】溺れるほど、愛しくて。




そのあと、名前を教えてもらい倉庫に連れていくと自分の逃げてきた理由を俺たちに話してくれた。


葛城舞花。

葛城財閥の娘ということは教えてもらわなくても名前を聞いた瞬間になんとなく分かった。


舞花は息抜きする場所がないと言った。


親の期待に応えるのが最近は負担でしかないとか愛されているのは感じるけど


期待を裏切るのが怖いとか…たくさんの不満を俺たちに語った。


金持ちでも悩みはあるんだ…と感じた瞬間だった。


親の愛情が重すぎると負担になるんだな……
俺は知りたくても知ることはできない感情だ。



『お前が好きなだけここにいればいい。
今日から紅嵐がお前の逃げ場所だ』


『そーそー!
舞花には俺たちがいるからさ』



それを聞いた俺たちの思うことは同じだった。


本来、紅嵐を作った理由は寂しい思いをしているやつらの居場所を作るため。


ここにきて、少しでも舞花の感じる負担がなくなればいいと思った。



『慶くん、忍くん…ありがとう』



紅嵐のメンバーも綺麗で優しく周りに気遣いができる舞花のことをすっかりと受け入れて仲良くしていた。


俺も忍もそれが嬉しかった。