【完】溺れるほど、愛しくて。




だって、そんなのはずいし…言いたいと思えるような女にも出会ってなかったしな。



『はい…あのお願いなんですけど…
私もその仲間に入れてもらえませんか?』


『……は?』


『本気で言ってんの?』



俺たちの仲間に入れほしい…なんて。

こんな見るからに
金持ちの娘みたいなやつが?


俺たちとは逆の世界を
生きてるようなやつだぞ?


そんなやつがなんでまた暴走族に?



『ほ、本気です!
もう私…疲れたんです』



ぽつり、と呟かれた言葉はきっとコイツの本音なんだろう。


今着ている制服だって、県内でも有名なお嬢様学校。

ますます意味がわかんねーけど見捨てることはできねーし。



『…来いよ、その代わり仲間に入れねぇ。
何があるかわかんねーし、でもいつでも倉庫に来い』


『慶!?』



隣で驚くように声を上げた忍。


一方で女は嬉しそうにニコニコしながら頭を下げて『ありがとうございます!』と言った。