【完】溺れるほど、愛しくて。








俺たちはそのへんじゃ有名な不良高校へと進学した。


二人して、頭が腐りそうなくらい勉強してバイクの免許を採った。


その頃には紅嵐は県一の暴走族にまで成長していた。


クスリや無駄な暴力は禁止していたから悪い奴らはいなかった。


俺は施設を出て“BlackCity”に引っ越した。


バイトしながらできるだけ家賃を払って、少しだけ施設から援助してもらいながら生活していた。


いつものようにおちゃらけた忍の相手をしながら学校から帰っているときに俺たちは出会った。


───…葛城舞花という女に。



『あ、あの……っ!』



先に声を掛けてきたのは舞花からだった。



『ん?』



女慣れしている忍が話しかけてきたやつの相手をするのが定着していたから

このときも忍が後ろを振り返って返事を返した。



『こ、これ落としましたよ…!』



そういって女が差し出したのは忍がスクバに付けていたお気に入りのキーホルダー。



『あっ、ありがと!』



忍も嬉しそうに受け取る。

この女が拾ってくれなかったら今頃、忍はキーホルダーを失くした泣いてただろう。