【完】溺れるほど、愛しくて。





『気が早いな。
まずは名前から決めなきゃな。忍』


『そうだな…ってお前今なんて言った!?』


『別に名前で呼んだだけだろ』



このままずっと名字っつーのもアレだしな。
信頼できる人が初めて出来た。



『嬉しすぎるんだけど!!もっかい呼んで!!』


『そんなに何回も呼ばねーよ』


『はぁ、ほんとツンデレだわ』



何言ってんだか……
まあ、隣にコイツがいるとも悪くは無いな。


それから俺たちは“紅嵐”という暴走族を作り、俺が総長で忍が副総長になった。


忍に俺は総長なんて面じゃねーっつったのに『お前にしかできねーよ』なんて言いやがったから結局俺が総長になったんだ。


まだ中学のガキだったけど、付いてきてくれる仲間は徐々に増えていき、


溜まり場にできそうな倉庫も見つけて俺たちは友情を深めていったんだ。


忍とは喧嘩も数え切れねぇくらいしたし、二人で色んな場所に行ってはふざけあった。


その時間が永遠に続くと思っていた───…