今にも泣き出しそうな五十嵐は寝転びながら腕で目を抑えた。
まだまだガキな中学生にとって、親の死を目の前にするのは相当辛いことだと思う。
五十嵐の話を聞いて俺は捨てられただけマシなのかもしれない…とも思った。
『俺、なんで気づいてやれなかったのかな…
苦しさなんて見せずに親父はいつも俺の前で笑ってたんだよ…』
『五十嵐…』
『親父の気持ち…俺が聞いてやれてたら
親父は今頃、俺と一緒に飯食っててくれたかなって思ったら…マジ…情けなくて…っ』
腕で目を抑えているけど、隙間から流れている涙は透明だけどたくさんの悲しみや悔しさが詰まった涙だ。
『俺のために…っ、親父は死んだんだよ…っ
保険がおりて…俺が生きてくのに困んねーように…っ』
たぶん…五十嵐は母親がいなくたって
親父さんにたくさんの愛情を注いでもらって育ってきたんだろう。
俺とは違うよ、五十嵐。
お前は俺となんて似てねぇ。
一緒にしちゃいけねーよ。
俺は両新に見捨てられた側で
お前は守るために先に逝かれた側。



