【完】溺れるほど、愛しくて。




『今から大事なもん守るんだよ』


『…は?』


『お前のことだよ……五十嵐』



こんな俺をここまで想ってくれたやつはほとんどいない。


ましてや、俺の五十嵐への態度は最悪だったと思う。


なのに嫌な顔一つもしないでずっと俺に話しかけてくれていた。


それが、本当はすげー嬉しかった。


でも、また裏切られたらどうしようなんて弱っちぃ考えが生まれてきて、なかなか素直になれなかった。


だけど今やっと分かった。
お前は俺にとって必要な人なんだと。


『…赤羽…』

『お前じゃ勝てねーだろうし?』



ふっ、と挑発気味に笑って手を差し出せば五十嵐は『うるせーな』と言いながら差し出した俺の手を掴んで立ち上がった。



『俺だってな、喧嘩強いんだから』


『さぁ、それはどうだか』



本当は知ってる。
お前が喧嘩ができることくらい。