それは中学にあがった頃に施設のおじさんから両親についての話を聞かされたから。
俺をひとり残して出ていった両親。
だけど、もう二人はこの世にはいない。
借金を返済できずに俺に迷惑をかけるくらいならいっそのこともう二人で死んでしまおう、と考えたらしい。
俺にはまだまだ先がある、未来だってある、だから一緒に道ずれにはしなかったと聞いた。
施設のおじさんは両親とは昔から仲が良くて色々な話を聞いていたそう。
だけど捨てられたのは事実。
すぐに傷が癒えるわけじゃねぇし…でも俺を一人にしていたことに罪悪感があったと思うと心の底からは憎みきれなかった。
遠い昔にでも愛された記憶があるから。
こんな俺でも両親からの愛情を
注いでもらっていた時期があるから──…
最近はそんなことを考えている時間も増えてきた。
事件が起きたのはその日の帰り道だった。
俺はいつものように施設に向かって歩いていた。
すると、突如前に現れたのは屋上であったヤツら。
んだよ…またお前らかよ。
俺はもうお前らに用はねーんだけど。



