『お前に殴らせるわけにはいかねー』
『…は?』
何言ってんの?
俺はクズ呼ばわりされたんだぞ?
その気持ちがお前に分かるかよ。
『そっちの子も殴っていいー?
一人くらい増えても…なー?』
相手は六人。
別に俺は一人でも余裕だけど
腕を掴まれているから身動きが取れねぇ。
『ここはプランBっつーわけで、逃げるぞ!』
コソッと、耳元で呟いてから掴んでいた腕を引っ張って屋上から飛び出した。
は!?んだよそれ…
つーか、プランBとか知らねーし。
『はぁはぁ…疲れたなー…』
非常階段付近まで逃げてきたころには後ろにはもう誰もいなかった。
つーか、なに俺まで逃げてんの。
腰抜けみたいに思われんじゃん。
『それでだな、俺の名前は五十嵐忍だ。よろしくな』
『よろしくするつもりねーし』
名前なんて覚える必要もねーし、
仲良くなりたいとも思ってねーよ。



