きっと、あたしが帰ってくるのを待ちながら読んだんだと思う。
その小説はいつ大切な人がいなくなるか分からないということを教えてくれる小説だったから。
…可愛いところもあるんだね、慶さんって。
あたしは慶さんのそばからいなくならないのに。
「んーん、まだ」
「もう十分でしょ?」
「まだまだ足りねー」
「ご飯食べようよ、お腹空いた」
本当にお腹が空いた。
今にもグゥーと鳴ってしまいそう。
「…チッ、分かったよ」
慶さんは少し不満そうにいいながらもあたしから離れてお皿にビーフシチューを盛り付け始めた。
一方であたしは水をだして手を洗おうとしたけど再び慶さんが背後にやってきた。
ま、また抱きしめる気…!?



