【完】溺れるほど、愛しくて。




「なぁー…萩花?」


「ん?どうしたの?」



甘く低い声で、あたしの名前を呼ぶ。

名前を呼ばれただけのにいつもと違う慶さんのせいか沸騰しそうなくらい顔が熱い。



「すげー好き……マジで好き…」



この人はあたしを殺す気?

そんな甘えた声でとろけてしまいそうな言葉を言われたらこっちだって照れるどころじゃ済まない。



「急にどうしたの?なんかあった?」



慶さんがこんなふうになるなんて一体何があったの?



「なんもない。言いたくなっただけ」



そういいながらもぎゅっとあたしを強く抱きしめる。



「ほんと?」


「ん…」


「そっか。
じゃあ、そろそろご飯にしよっか」



あたしは気づいてしまった。

慶さんがこんなふうになって甘えてきた理由が。


それは恥ずかしくて視線をリビングのテーブルにあたしが読んでいた小説が置いてあったから。