【完】溺れるほど、愛しくて。




「え?」


「…お前の姉ちゃん、舞花っつーだろ」



それだけ言うと彼はあたしの腕を離してスタスタと歩いていってしまった。


……どうして?


なんであの人がお姉ちゃんの名前を知っているの?


教えてなんかないのに。
もしかして、お姉ちゃんが何かに関わってるの?


モヤモヤした気持ちを抱きながら
あたしは重い足で病院へと向かった。



「あっ。萩花!久しぶりだね。元気だった?」



病室に入るとニコッと可愛い笑顔を向けられる。


お姉ちゃんは憎めない。

だって、どんなに誰からも愛されていようがあたしをけなしたりしないから。


いっそ、ズタズタにけなしてくれたほうが憎めるのに…お姉ちゃんはすごく優しいからそんなことしない。


むしろ『萩花はあたしにないものをたくさん持ってるよ』なんて褒めて慰めてくれる。


そんな優しい姉だから、こうやってお見舞いにやって来るんだ。