「萩花、どれがいいと思う?」
「え?」
そんなこと聞かれても…ほかの人にあげるのをあたしが選ばなきゃいけないなんて酷な話だよ。
「どれもらったら嬉しい?」
「俺、こういうのよくわかんねーの」とか言いながら照れくさそうに首に手を当てる。
そんな照れた顔しないで。
他の女の子のことを考えてないでよ…!
本当はそう言ってやりたい。
でも、あたしはショーケースに視線をやった。
あたしがもらって嬉しいのは…
この二つの小さいリングが重なっているネックレス
これが一番慶さんに似合いそうだから。
女の人がつける方にはピンクのストーンがついてて男の人の方はシルバーのストーン。
「そうか。じゃあ、これをお願いします」
「はい、かしこまりました。
ちなみに裏側に“Beside you”と刻まれています」
「どういう意味ですか?」
───…あなたのそばに。
慶さん、それを他の女の子に渡すの?
「あなたのそばにという意味です」
「いいですね。それにします」
さっきまで無愛想だったくせに
ふわっと柔らかく笑った慶さん。