「慶さん、風邪?」
「は?」
「だって、いま真夏なのに
寒いなんてどうかしてるよ」
無理して風邪がひどくなられても困るし。
ちょっと残念だけど家に帰った方がいいよね。
「なんもわかってない」
「え?」
なんもわかってないってなんのこと?
全然わかんないよ、慶さん。
「つべこべ言わずに繋いどけ。
お前だって本当は俺と手繋ぎたいくせに」
「なっ…!」
いきなりそんなこと言わないでよ!
いや、確かに慶さんの言う通りなんだけど…!
「その反応は図星だな」
「もうっ…!」
なんでいつも慶さんは
そんなに余裕そうなの!?
やっぱり同い年じゃないし、大人っぽいからなのかな?
あたしもできるだけ大人っぽくなって慶さんに近づきたい。
「どこ行くの?」
「着いたらわかる」
な、なんじゃそりゃあ…!!
慶さんが行きそうなところ……
あ!服屋さんとか?
それとも香水売ってるところとかかな?



