「ちゃんと俺につかまっとけ」


「へ?」



つ、つかまるってどうすればいいの…!?

服を持たせてもらえばいいのかな?


そう思い、慶さんの服を少しだけ掴んだ。



「なぁ、振り落とされたい?」


「や、やだっ!」



そんなことになったら痛いじゃん!

慶さんってば、なに考えてるの!?



「はぁ…そんなつかまり方じゃ落っこちんぞ」



そういうと、慶さんはあたしの両手を掴むと自分の腰に手を回させた。


なっ…!

あたしが後ろから慶さんを抱きしめるみたいじゃん!


こんなの恥ずかしい…それに……



「ドキドキしすぎだろ」



ハハッと短く笑いながら言った慶さん。


だから嫌だったんだってば!


ドキドキしてるのがすぐにバレちゃうから…!