【完】溺れるほど、愛しくて。








「乗れ」



あたしの目の前にあるのは一台の大きな黒いバイク。


きっと慶さんの愛用しているバイク。


それは分かる……
でも、これにあたしも乗るの?


ちょっと無理があるんじゃ……


そもそも、バイクなんて乗ったことないし。



「こ、これに乗るの?」


「あたりめーだろ。
これ以外にどれ乗んの?バカ?」



うぅ…やっぱりそうですよね。

しぶしぶバイクに跨ろうとするけど大きいからなかなか乗れない。


な、なんだこのバイク。

あたしが知ってるバイクと全然違うんだけど。


もっとひょいって乗れるもんだと思ってたし。



「あー、もうおっせぇな」



バイクに乗るために四苦八苦していると
しびれを切らしたように慶さんが言った。


そして、何を思ったのかあたしをひょいっと持ち上げてバイクに乗せた。



「あ、ありがとう」



とは言うものの、絶対体重が重いとか思われた!!
もう最悪だ……!と内心は叫んでいる。



「これ被っとけよ」



今度は頭にスポッとヘルメットを被せられた。
なんか頭が窮屈になってヘルメットの重さにぐわんぐわんと頭が揺れる。