だけど、徐々に状況を理解できるようになり……



「ヤバい…」



ぽつり、と言葉をこぼして
後ろから彼の背中に抱きついた。



「うわっ…!
んだよ。いきなり抱きつくんじゃねーよ」


「慶さん!慶さん!」


「なに」


「ありがとっ!」



こんなあたしを好きになってくれて。
あたしをさらいにきてくれて。



「うん」



素っ気ない返事。

でも、彼の頬が緩んでいたことに
あたしは気づいていたから何も言わなかった。


今はただこの幸せを全身で感じていたかったから。
大好きな人のそばにいれること喜びを。