【完】溺れるほど、愛しくて。








次の日の朝、あたしはベッドから起き上がっていつも通りクローゼットにかかっている制服に手を伸ばす。


何の変哲もない日が、憂鬱な一日が再び始まろうとしている。


いつからあたしは心の底から笑っていないんだろう。


──…コンコンッ


ボーッとしながら着替えを済まして一階へ向かおうとしたらドアをノックする音が聞こえてきた。


狭間さんかな?


でも、狭間さんはかなりのイケメンな男性で歳は二十代後半だと聞いたことがある。


優しそうな表情をいつも浮かべているけど、あたしが反抗する時はいつも眉を下げて困った表情に変わる。



「はい」


「萩花、入るわよ」



その声の主はお母さんでビックリしているとドアが開いて入ってきたのはやっぱりお母さんだった。



「朝からどうしたの?」


「ちょっと言いたいことがあってね。
あなた、Black Cityに近づいていたりしていないわよね?」



“Black City”


お母さんの口から出てきた言葉にドクンと心臓が飛び跳ねて手に汗を握る。


Black Cityに言った次の日にそんなことを聞かれるなんて思ってもいなかったから。