【完】溺れるほど、愛しくて。




短い間だったけど、楽しかったよ。
ありがとう…慶さん。


泣きすぎて疲れたのか
瞼が下がってきてそのまま眠りについた。


──…コンコンッ



「んんっ…」



扉をノックする音が聞こえてきて
ベッドからムクリと起き上がる。


眠い目を擦りながら扉の方を見ていると



「萩花、入るわよ」



そんな声が聞こえてきてお母さんが入ってきた。


久しぶりに…と言ってもたった二日くらいだけど会ったお母さんは何一つ変わっていなかった。



「おかえり、萩花」


「……」



ただ、優しい声であたしにそう言った。
反抗していた気持ちが少し和らいだのが分かった。


でも素直に『ただいま』とは言えなかった。
だって、あたしの心の中は未だに慶さんを求めているから。



「心配してたのよ。
戻ってきてくれてよかったわ」



そう言うとベッドに座ってあたしの体を抱きしめた。


久しぶりに感じたお母さんのぬくもりは
とてもあたたかったけど本気で心配していたとは思えない。