娘としてじゃなくて、後継者としか見られない。
そんなの…イヤなの!
「放ってなんておけません。
お嬢様が一緒に住んでおられる方は危険です」
なっ…!
なんでそんなことまで知っているの!?
あたしが“BlackCity”に出入りしていることは
知っていても誰と住んでいるかなんて知らないはず。
「あのお方だけはダメです。
はやく、帰ってきてください」
「なんでそんなこと言うの!?
彼の何を知ってるって言うのよ!!」
何も知らないくせに。
慶さんはきっと色んなものを一人で抱えてるんだ。
あたしと同じ…ひとりぼっちなんだよ。
それを最近よく感じていた。
慶さんは“BlackCity”では誰とも話すことはなくいつも一人でいる。
そんな彼はどこかあたしと似ているような気がした。
だから、惹かれたのかもしれない。
「お嬢様こそ、何も知らないんじゃないですか!
あの人に近づくことはもう許されません!」
狭間さんは興奮気味にそう言うと
あたしの手を強引に掴み、車に無理やり乗せた。
そして、車を走らせ家へと向かった。