私と恋をはじめませんか

「大丈夫ですよ。私も社会人になってもうすぐ四ヶ月ですからね。空気は読みますよ」

心の底からホッとしたように息をつく篠田さんの姿がおかしくて、思わず笑いそうになってしまう。

「自分たちからペラペラ言うなんてことはしないけど、あまりコソコソはしたくないです。後、私の同期の子たちにはちゃんと報告したいです」

「うん、わかった。俺も有村と崎坂にはちゃんと言います」

「あ、それ。篠田さん、敬語もやめてほしいです」

「……少しずつでいい?」

「はい」

ニッコリ笑うと、篠田さんがハハッ、と小さく笑った。

「高原さんって、結構強いよね。ハッキリしてて」

「イヤですか?」

「ううん。そういうところにも惹かれてるから、イヤではないよ」

「篠田さんだって、意外と素直に言うんですね」

「そう?」

さっきから、私に対する想いを真っ直ぐ伝えてくれる篠田さんに、心臓はドキドキしっぱなしだ。

普段淡々としてるから、結構自分の気持ちも中々伝えてくれない人なのかと思っていたのに。

「高原さん、結構有村と仲いいから。アイツみたいにわかりやすく言ったほうがいいのかと思って、結構頑張ってるんだ、こう見えて」

「何言ってるんですか。確かに有村さんのことは昔から知ってるけど、憧れのお兄ちゃん的存在っていうか。とにかく、私はどんな篠田さんでも大好きですから。人見知りで不愛想でも、優しいとことか、朝弱くて寝ぐせ全開で仕事に来るとことかも、大好きですからね!」

「あ、ありがとう……」

そう言ってハニカム笑顔が素敵過ぎて、心臓が止まりそう……!

「篠田さん」

「ん?」

「これからも、無理はしなくていいですよ。私、篠田さんがいくらポーカーフェイス装ってても、結構笑ってるか怒ってるかわかってますからね」

「そう? じゃあ、今俺が何を思ってるかわかってる?」

あれ? この表情は今まで見たことがない感じだ。

笑っているといえば笑ってるんだけど、何か考えているような。

そう、ちょっと意地悪な感じの笑顔。