涙の、もっと奥のほう。

さっきも言ったようにお母さんがこの額縁の中にいる理由を、私は知らない。

知ってるけれど、知らないようなもの。

じいちゃんもばあちゃんも何か隠していて、病気で死んだとしか言わない。

だけど私には、それが嘘だと思うのだ。

私の部屋は二階にあり、生前お母さんが使っていた部屋なんだとか。

おかげで押し入れの奥の、奥のほうには、お母さんの遺品がいまだにたくさん遺っている。

学生時代のお母さんの写真を見ると、さすが私の母親だと思うようなものばかりだ。

制服姿で片手に煙草、400ccの単車にまたがって、おまけに何故か片足を放りあげている。