涙の、もっと奥のほう。

「おっしゃる通りで」

私の言葉に不敵な笑みを浮かべて、水割りを作り出した。

「…で、どうしたの?」

和歌と私の間に、余計な話は存在しない。

余計なことは言わなくても分かる。

「店…店出さないかって言われた」

出された酒を一気に飲み干してから一言呟いた。

「スナックのママって、私でもできるの?」

表情一つ変えない和歌の目を見つめていると、迷いも吹っ飛びそうな気がした。

「江奈はどうしたいの」

焦りもせず、和歌は落ち着いて疑問詞をなげかけてきた。

「江奈は…店出したいと思うの?自分はママに向いてると思う?」