涙の、もっと奥のほう。

和歌の店までは徒歩でも5分くらいの距離。

声をかけてくるどうしようもない野郎共の間をすり抜けて、和歌の店の扉を開けた。

店の中には中年の男性が一人、和歌の下で働いている女の子が一人、至って静かな状態だった。

「いらっしゃい」

着物を着付けた和歌は同い年とは思えない程に貫禄があって、友達の私ですら鼻高々だ。

「ごめんね。水割りで」
「了解。何か迷ってんでしょ、江奈が水割り飲むときは悩んでるとかじゃなくて迷ってんだよ」

さすが!そう叫びたい程、どんぴしゃりだ。