涙の、もっと奥のほう。

和哉がマスターで、私がママ。

面白い店が作れそうな気がした。

「とりあえず考えてみてくれよ。」

そのあとは店を出す話は一回も出ず、歌を歌ったりなんだりで和哉は結局ラストまでの居残り組でいてくれた。

「ありがとうね、和哉。また電話するから」

店の外まで和哉を見送り、私はその場で『ある人』に電話をかけた。

中学生の頃からの大親友、和歌(わか)。

一緒にグレて、一緒にパクられてきた無二の親友だ。

「もしもし和歌?」

和歌は同じ繁華街で、スナックのママをしている。

ママという仕事がどんなものかを聞くには、和歌が一番だと思ったのだ。