涙の、もっと奥のほう。

だけどお母さんがこうして私の前に姿を現してくれたのには何か意味があって、何かきっかけがあるからに違いはない。

「後何時間、こうやっていられるの?」

最初に確かめておきたい。

離れるときの心の準備がいる。

私は咄嗟にそんな事を思って、お母さんに聞いた。

「夜明けまで、あと4時間だよ」

季節は夏、5時頃夜明けが訪れる。

あと4時間で、14年の歳月を埋める事がどんなに難しいか…それを考えたら息が詰まりそうになった。

話しても話しても、きっと足りない。

お母さんと私の時間は、あまりにも足りなさすぎた。