涙の、もっと奥のほう。

右側を振り返ってみると、確かに私が寝ている。

いや、魂は今ここにあるんだから…寝ている私は死んでいることになる。

不思議と怖くなかった。

「何で突然会いにきたのか…聞きたいんでしょ」

聞こうと思っていた事を見抜いたかのように、お母さんは含み笑いで私の顔を覗きこむ。

「凄いね、思ってた事見抜かれちゃった」

アイラインでくっきり象られ、マスカラで長く足された睫毛の印象的な目元が嬉しそうに微笑む。

「今までずっと、龍奈の傍にいたんだよ。龍奈が気付かなかっただけでね。朝は龍奈の隣に座って、朝ご飯食べてる龍奈を見てた。昼は学校で不良やってる龍奈を見てた。夕方、私の仏壇の前に座って手を合わせてくれてるのも知ってた。夜は一緒にこの部屋で煙草吸って、龍奈の隣で一緒に寝てたよ」