涙の、もっと奥のほう。

「お母さんも会いたかったよ、りいちゃん。」

そこでもう一つ記憶のかけらを拾った。

りいちゃん。

お母さんは確かにそう私の名を呼んでいた。

三歳の頃の記憶なんて、無くて当たり前だと思っていた。

それがみるみる内に私の中で形作られていく。

「お父さんにそっくり。」

頭を撫でながら呟くお母さんは、亡くなった時と同じ24歳のようで若い。

当時流行っていた服装なのか、黒の短いタイトスカートにヒョウ柄の七分丈のブラウス。

髪の毛は胸の下くらいまであって、外巻きにされていた。