涙の、もっと奥のほう。

「彼氏じゃないし!!あんなの彼氏だったら私恥ずかしくて生きてけないっつの!!」
「あれ?でも前に遊びにきたじゃない」


ばあちゃんが横から余計な事を言う。

「ただ遊びにきただけじゃん!」

確かに少し前、時弥が遊びに来た事がある。

何人かの飲み会で馬鹿騒ぎする予定だったのをドタキャンされた時弥と私は、雨の降る中を単車で私の家まで帰ってきた。

その日、時弥はちゃっかり夕飯を食べて、図々しくも風呂まで私の家で入り、揚げ句の果てには叔父さんと晩酌を交わし、ベロベロに酔って私の部屋で…しかも私の布団で寝やがった。