涙の、もっと奥のほう。

「やだよ。パクられたくないもん。」

窓を開けると、真下に時弥がいた。

「今日は忙しいの。一人で行って」

真下で膨れっ面をしているクラスメイトに手を振って、窓を閉める。

気が付けば夕飯時で、いつの間に帰ってきたのか、ばあちゃんが階段の下から呼んでいる。

部屋の電気を消して階段を駆け降りる。

「琢磨叔父ちゃん来てたの」

リビングのソファで琢磨叔父さんは石像と化していた。

大工の棟梁で、私が今住んでいるこの家も叔父さんが設計して建ててくれた。

「龍奈、外で待ちぼうけくらってる彼氏を中に入れてやれ」

叔父さんの言葉に赤面する。