僕は、感情を麻痺させて、日々をやり過ごした。

 彼女を失うだけで、制裁は終わったらしい。
 審判を受けることを覚悟していたが、なにもなかった。

 ときどき、目を皿のようにして彼女や、あの幽霊を探すことはあった。
 取りつかれていると感じ、もうやめにしようと思った。

 せめて、彼女の小説が、僕が選考委員を務める文学賞に回ってくればいいとも思った。
 あいにく、今は僕は担当を外れているのだった。

 苦しい。
 なんでだろう、こんなにひとりがむなしく感じるなんて。

 いつも僕は、誰といてもひとりだったのに。

 こういうことがあるたび、恋はもうしたくないと思っていた。
 性懲りもなく繰り返す自分が嫌になった。